【書評】「気の利いた返し」は不要だった。会話が苦手な私を救った『LISTEN』という本の話

人間関係

沈黙が怖くて、焦って喋っていませんか?

「会話が続かないのが怖い」 「相手の話を聞きながら、頭の中で『次に何を言おうか』と必死に考えている」

私はずっとそうでした。 「聞き上手」というのは、相手の話に絶妙な相槌を打ち、気の利いたアドバイスができる人のことだと思っていたからです。

でも、ある一冊の本を読んで、その考えが根本から間違っていたことに気づかされました。 今日は、私の「聞くこと」への価値観を180度変えた本、ケイト・マーフィの『LISTEN』について、自分の読書ノートを見返しながら紹介します。

1. 「次に何を言おう」と考えるのが諸悪の根源

誰かと話している時、あなたの脳内はどうなっていますか? 私のメモには、こう書き残してありました。

気が散る最大の原因は、「次にどんな気の利いたことを言おうかな」とか、もし言い争いの場なら「次にどんな破壊力のあることを言ってやろうか」といった、次に何を話そうかと考えることです。

私たちは、相手の話を聞いているようで、実は「自分の出番」のリハーサルをしてしまっているのです。 「次に何を言おう」と考えていると、相手の言葉の背景にある感情を聞き逃し、結果としてトンチンカンな返答をしてしまいます。

「うまい言葉を用意しなくていい」。そう知るだけで、肩の荷が下りる気がしました。

2. 良かれと思った「アドバイス」が相手を傷つける

相談を受けた時、つい「解決策」や「助言」を言いたくなりませんか? 著者は、それをバッサリと切り捨てています。

自分が解決しようとか、助言しよう、修正しよう、気を紛らわせようと飛びついてしまうと、相手が状況にうまく対処する能力がない、「私なしにあなただけで解決するのはムリ」と言っていることになってしまいます。

これには衝撃を受けました。 良かれと思ってやっていたアドバイスが、実は「あなたには能力がない」というマウントになっていたなんて。

もちろん、そうは捉えない相手もいてくれるでしょうが、このリスクは肝に銘じておきたいですね。

本当の聞き上手は、問題を解決しようとするのではなく、ただ相手の頭と心の中で起きていることを理解しようとする人なのです。

3. 「孤独」の正体は、話を聞いてもらえないこと

なぜ私たちは、SNSで繋がりながらも孤独を感じるのでしょうか。

孤独を感じるのは、「よいことが起こった」のに誰にも注意を払ってもらえないとき。

辛い時だけでなく、嬉しいことがあった時に「ねえ聞いて!」と言える相手がいない。あるいは、言っても「ふーん」で流されてしまう。 これが現代の孤独の正体なのかもしれません。

逆に言えば、誰かの話を「へえ、それで?」と好奇心を持って聞くことは、その人を孤独から救い出し、自分自身も誰かと深く繋がるための最強の手段なのです。

聞くことは、愛すること

この本を読んでから、私は会話の中で「沈黙」が怖くなくなりました。 上手いことを言おうとするのをやめて、ただ「相手がなぜその話を私にしているのか?」ということに集中するようになったからです。

誰かと「連絡を取り続ける」とは、その人が何を考えているかに耳を傾けるという行為以上の何物でもありません。

もしあなたが、人間関係に疲れを感じていたり、「自分は口下手だ」と悩んでいるなら、この本はきっと優しい処方箋になります。 「話す力」を鍛える本は山ほどありますが、「聞く力」をここまで科学的に、かつ哲学的に掘り下げた本は稀有です。

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