カレンダーがなかった時代の「暦」
ふと夜空を見上げて、満月が輝いていると、なんだか少し得した気分になりませんか?
今でこそ私たちはスマホのカレンダーで日付を確認しますが、カレンダーも時計もなかった時代、人々は夜空に浮かぶ「月」の満ち欠けを見て、季節の移ろいを知りました。
特に自然と共に生きてきたアメリカ先住民(ネイティブアメリカン)たちは、毎月の満月に、その時期の動物や植物の名前をつけて呼んでいました。 そのネーミングセンスは驚くほど詩的で、そして合理的です。
今回は、知っておくと夜空を見るのが12倍楽しくなる、各月の満月の名前(フルムーン・ネーム)とその由来をまとめました。
1月〜6月:生命が目覚める季節
1月:ウルフムーン(Wolf Moon/狼月)
真冬の深い雪の中、食料が尽きてお腹を空かせた狼たちが、遠吠えをする声がよく聞こえる時期だから。 寒く厳しい冬の情景が目に浮かぶような名前です。
2月:スノームーン(Snow Moon/雪月)
その名の通り、北米では一年で最も雪が降り積もる時期だから。 寒さで狩りが難しくなることから「ハンガームーン(Hunger Moon/飢餓月)」と呼ばれることもあります。
3月:ワームムーン(Worm Moon/芋虫月)
雪解けが進み、地面からミミズや芋虫(Worm)が這い出してくる時期。 春の訪れと、鳥たちが戻ってくる気配を感じさせる、少しユーモラスな名前です。
4月:ピンクムーン(Pink Moon/桃色月)
「月がピンク色になる」わけではありません。 春一番に咲くシバザクラ(フロックス)などのピンク色の花が一面に咲く時期であることが由来です。春爛漫の喜びが込められています。
5月:フラワームーン(Flower Moon/花月)
多くの花が咲き乱れる季節。 生命力が爆発するこの時期の満月は、私たちにも元気を与えてくれそうです。
6月:ストロベリームーン(Strawberry Moon/苺月)
北米では、野生のイチゴの収穫時期が短いこの時期だから。 「好きな人と見ると結ばれる」というジンクスでも有名ですが、本来は「早く収穫しないと!」という生活の知恵から来ています。
7月〜12月:実りと静寂の季節
7月:バックムーン(Buck Moon/男鹿月)
「バック(Buck)」とは雄鹿のこと。 雄鹿の角が生え変わり、新しい立派な角が伸びてくる時期であることに由来します。力強さを感じる名前です。
8月:スタージェンムーン(Sturgeon Moon/チョウザメ月)
北米の五大湖などで、大型魚のチョウザメ(Sturgeon)漁が最盛期を迎える時期だから。 かつては生活を支える重要な食料だったことが分かります。
9月:ハーベストムーン(Harvest Moon/収穫月)
農作物を収穫する(Harvest)時期。 秋分の日に一番近い満月を指し、夜遅くまで収穫作業をする農夫たちを、明るい月明かりが助けてくれたことから名付けられました。
10月:ハンターズムーン(Hunter’s Moon/狩猟月)
冬に備えて肉を蓄えるため、狩猟(ハンティング)を始める時期。 収穫が終わった畑は見通しがよく、キツネなどの獲物を見つけやすかったそうです。
11月:ビーバームーン(Beaver Moon/ビーバー月)
ビーバーが冬越しのための巣作りを終える時期、あるいは毛皮用のビーバーを捕獲する罠を仕掛ける時期だからと言われています。 動物たちも冬支度を急ぐ頃です。
12月:コールドムーン(Cold Moon/寒月)
本格的な冬が到来し、夜が長く、寒さが厳しくなる時期。 1月のウルフムーンへと続く、静寂と寒冷の季節を象徴する名前です。
月を通して「自然のリズム」を取り戻す
こうして見ると、昔の人々は「何月何日」という数字ではなく、「花が咲いたから」「鹿の角が伸びたから」という、自然の変化そのものをカレンダーにして生きていたことが分かります。
現代の私たちは、つい忙しさに追われて季節感を忘れがちです。 でも、ふと見上げた満月が「今はストロベリームーン(イチゴの季節)だよ」と教えてくれれば、スーパーでイチゴを買ってみようかな、という気持ちになれるかもしれません。
次の満月の日、もし晴れていたら、その月の名前を思い出して夜空を見上げてみてください。 きっといつもより、月が親しく感じられるはずです


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