【天体観測】星座とは違う?「アステリズム(星群)」を知ると、夜空が天然のプラネタリウムになる

教養・カルチャー

夜空の「非公式」な楽しみ方

ふと夜空を見上げたとき、オリオン座や北斗七星くらいなら見つけられるけれど、他の星座はサッパリ……ということはありませんか?

無理もありません。全天にある88個の「星座」は、神話や歴史に基づいて決められた区画整理のようなもので、明るい星ばかりで構成されているわけではないからです。

そこで私がおすすめしたいのが、「アステリズム(星群)」という楽しみ方です。

アステリズムとは、星座の枠組みを超えて、目立つ明るい星同士を勝手に繋いで作った「わかりやすい図形」のこと。 いわば、夜空の「非公式なランドマーク」です。

これを知っておく・だけで、夜空を見るのが劇的に楽しくなります。今回は、季節ごとに変わる代表的なアステリズムをまとめておきます。


【春】夜空に描く巨大なアート「春の大曲線」

春の夜空は、冬に比べて明るい星が少なく、少し霞んだような優しい雰囲気があります。そんな中で圧倒的な存在感を放つのが、空を大きく横切るカーブです。

  • 北斗七星(おおぐま座)の柄の部分からスタート
  • そのままカーブを伸ばして、オレンジ色のアークトゥルス(うしかい座)
  • さらに伸ばして、青白いスピカ(おとめ座)

この壮大なアーチを「春の大曲線」と呼びます。 北の空から南の空へと続くこのラインを視線でなぞるだけで、宇宙の広さを体感できる、春一番のアステリズムです。

【夏】天の川をまたぐ「夏の大三角」

これは学校で習った方も多いかもしれません。夏の夜空を見上げると、頭の真上あたりに、ひときわ明るい3つの星が巨大な二等辺三角形を作っています。

  1. ベガ(こと座):織姫星。一番明るい。
  2. アルタイル(わし座):彦星。
  3. デネブ(はくちょう座):天の川の中にいる。

この3つを結んだのが「夏の大三角」です。 街明かりがある場所でもハッキリ見えるほど明るいのが特徴。この三角形の中を、薄ぼんやりとした「天の川」が流れているのを想像すると、七夕の物語がよりリアルに感じられます。

【秋】静寂に浮かぶ窓「秋の四辺形」

秋の夜空は「寂しい」と言われます。一等星(すごく明るい星)が一つ(フォーマルハウト)しかないからです。 そんな静かな秋の空にぽっかりと浮かぶのが、4つの星で作る正方形に近い形。

  • ペガスス座の胴体部分

これを「秋の四辺形(ペガススの四辺形)」と呼びます。 他の季節のアステリズムほどギラギラしていませんが、その分、見つけると「整っている」という安心感があります。 この四辺形を「窓」に見立てて、その向こう側に広がる宇宙の果てを想像するのが、秋の夜長の乙な過ごし方です。

【冬】豪華絢爛な宝石箱「冬のダイヤモンド」

空気が澄んで、星が最も綺麗に見える冬。 この季節のアステリズムは、一年で最も豪華です。なんと、6つの一等星を繋いで作る巨大な六角形です。

  1. シリウス(おおいぬ座):全天で一番明るい恒星
  2. リゲル(オリオン座)
  3. アルデバラン(おうし座)
  4. カペラ(ぎょしゃ座)
  5. ポルックス(ふたご座)
  6. プロキオン(こいぬ座)

これを「冬のダイヤモンド(冬の六角形)」と呼びます。 色も、青白、オレンジ、黄色とカラフルで、まるで宝石箱をひっくり返したような美しさです。寒さを我慢してでも見る価値がある、冬の夜空の王様です。


星を見上げる時間は「自分を取り戻す時間」

アステリズムの良いところは、望遠鏡などの道具がいらないことです。 帰り道、ふと顔を上げて「あ、夏の大三角だ」と気づく。 その瞬間だけは、仕事の悩みやSNSのノイズから離れて、宇宙という圧倒的なスケールに身を置くことができます。

かつての船乗りたちが星を頼りに海を渡ったように、私たちもアステリズムを頼りに、忙しい日々の中で「自分の現在地」を確認してみるのもいいかもしれません。

今夜、晴れていたら少しだけ空を見上げてみませんか?

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