スーパーで立ち尽くす夕暮れ
仕事や勉強を終えた夕方、スーパーの野菜売り場の前で、虚無の表情で立ち尽くしたことはありませんか?
「……で、今日なに食べよう?」
冷蔵庫の中身、昨日のメニュー、栄養バランス、調理の手間、片付けの面倒さ……。これらを瞬時に計算して最適解を出すのは、実は高度な頭脳労働です。
「もう考えるのが面倒くさい」 そう感じるのは、あなたが怠慢だからではありません。脳の「決断するための燃料」が切れているからです。
今日は、私たちの脳を蝕む「献立決め」という重労働を、システム化して手放す方法について考えます。
なぜ夕方の決断はあんなに辛いのか?
心理学には「決断疲れ(Decision Fatigue)」という言葉があります。
人間が一日にできる「決断」の回数には限界があるそうです。ケンブリッジ大学の研究によると、人は一日に最大3万5000回の決断をしていると言われています。
- 朝起きて「あと5分寝るか?」を決める
- 着ていく服を決める
- 仕事のメールの返信内容を決める
朝から晩まで決断を繰り返し、夕方になった頃には、脳の「決断力ポイント(ウィルパワー)」はほぼゼロになっています。 そんな状態で「晩ご飯どうする?」という難問に挑むのは、HPが1の状態でラスボスに挑むようなものです。辛くて当たり前なのです。
Apple創業者のスティーブ・ジョブズが毎日同じ服を着ていたのは、この「決断疲れ」を防ぎ、重要な仕事にエネルギーを残すためだったというのは有名な話です。
献立の「自動化」マイルール3選
ジョブズを見習い、私も晩ご飯の悩みから脳を解放するために、3つのルールを導入しました。
1. 「曜日固定制」にする
一番シンプルなのが、曜日でジャンルを決めてしまうことです。
- 月曜日: 魚を焼くだけ(週の初めは楽しない)
- 水曜日: 麺類(パスタかうどん)
- 金曜日: 鍋(野菜を全部入れるだけ)
「何を作ろう?」とゼロから考えるのではなく、「今日は水曜だから麺だな。味付けはどうしよう?」と選択肢を絞るだけで、脳の負担は半分以下になります。
2. 「AIガチャ」に決めてもらう
どうしても思いつかない時は、現代の武器、生成AI(ChatGPTやGemini)を使います。
「冷蔵庫にキャベツと卵がある。あと豚肉を買えば作れるメインのおかずを1つだけ提案して。調理時間は10分以内で」
ポイントは「1つだけ提案して」と頼むこと。いくつも提案されると、そこでまた「選ぶ」という決断が発生してしまうからです。 AIが言ったものを作る。これなら「他人に決めてもらった」という感覚で、責任から解放されます。
3. 「なんでもいい」は禁止ワード
家族やパートナーがいる場合、一番のケンカの種になるのが「晩ご飯なにがいい?」「なんでもいい」のやり取りです。
我が家では「なんでもいいと言った人は、出されたものに一切文句を言わない権利を行使したとみなす」という条約を結びました。 あるいは、「なんでもいいなら、私が一番楽なカレーにするけど異論はないね?」と確認する。これだけでストレスが激減します。
まとめ:脳のメモリは「勉強」に使おう
たかが晩ご飯、されど晩ご飯。 毎日のことだからこそ、ここで「迷うエネルギー」を節約できれば、その分を資格の勉強や、読書の時間に回すことができます。
「手抜き」ではありません。「効率化」です。 今日の夕方は、スーパーで悩まず、堂々と「一番楽なメニュー」を選んでみてください。


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